『ヴェニスに死す』 トーマス・マン 新潮文庫 520円+税
新型コロナウィルス蔓延第2波が危ぶまれている梅雨の真っ最中、この小説も旅先で蔓延する疫病の事が描かれていたと、再読した。この映画はあまりにも甘美でしかも恐ろしかった記憶がある。
功成り名遂げた初老のドイツ人作家がヴェニスに保養旅に出かける。そこで類まれな美少年を見かける。精神と肉体、芸術と生活の相対立する両力知り意識自重しつつも、隠されている疫病、ここではコレラ、蔓延を知りつつも、命をかけて美少年に強烈に魅かれてゆき、その地に踏みとどまり死んでいくという筋書き。審美愛に溺れたものの哀れを感じる。
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