『どう生きるかつらかったときの話をしよう』 野口聡一著 アスコム 1400円+税
宇宙飛行士の野口さんは2009年、2度目の宇宙での仕事、つまり国際宇宙ステーション(ISS)に半年間滞在し、日本実験棟「きぼう」でメンテナンスや実験を行い、当時の日本人宇宙飛行士として最多の滞在日数や船外活動の偉業を記録した。
が、地球に帰還後、10年間も大きな寂寥感や喪失感に襲われ苦しんでいたのだ。次の目標を見失って。
宇宙という空間で人類で数少ない偉業を成し遂げ、その絶頂感から慣れ親しんだ地球に帰還し、次々に記録も更新されていく。その寂寥感はいかばかりか。
どれほどの仕事でも、他の人に設定され、他の人に監視され、他の人の目標に突き進んできたことに気づく。自分とは何か。自分自身管理できる本当にしたいことは何か。死と隣り合わせでの宇宙体験で観た地球の美しさ、生命は地球にしかないという大きな地球の記憶、それを元に野口さんはまさに生きることに生還する。自分らしく生きていきたい。
そして、定年を前にJAXAを退職。地球の素晴らしさを守る、今を生きることの大切さ、明日を生きる子供たちに夢を持つことの大切さを伝えていく。こうしたことを目指して、今テレビなどでお見受けする普通の人っぽい、明るく、茶目っ気のある、大きな宇宙飛行士は歩んでいる。宇宙人のいることを信じて、民間人の宇宙旅行にアテンダントとして付いていくと。
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