『バベットの晩餐会』

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読書日記

2013年06月08日

『バベットの晩餐会』 イサク・ディーネセン ちくま文庫 680円+税

イサク・ディネーセンつまりアイザック・ディーネセンであり、カレン・ブリクセンである。
著者が名前を使い分けていたのは『アフリカの日々』で書いた通り。
私の習性として、気に入った著者の本は次々と読んでみたくなる。
で、『バベットの晩餐会』を読んだ。これも映画化された。
これは簡単ではなかった。さっと読んでしまうと、深い意味、著者の言わんとすることかさっぱりつかめない。

著者は小説家というよりは物語り作家といわれる。北欧では寒い日々、物語りを声に出して読んだりしたのだろう。
小説とはちょっと違う。
これも、そんな作風で、19世紀後半のノルウェーの片田舎の監督牧師館での小さな物語りである。
世にも不思議な美貌と美声を持った牧師の娘二人を中心にした物語り。
倫理的な生活と美的な生活、プロテスタントとカトリック、貴族階級とブルジョワジーとプロレタリアートの対立などなどが織り込まれていて、小品の中にヨーロッパ文化が凝縮している。
ヨーロッパ文化の詳しい繊細な感性と知識なしには、本著の深い意味がなかなか味わえない。
何度も読み直さなければ理解できない手強い作品だ。

この本にはもう一つ『エーレンガート』が収録されている。
こちらは後でまたじっくり読みましょう。 

 

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