『幸福を招く男』 レジナルド・ヒル ハヤカワ・ミステリ 1068円+税
レジナルド・ヒルの私立探偵ジョー・シックススミスシリーズの第一弾。
シリーズものは、何と言っても第一弾が断然おもしろいと常々思っている。
家族皆殺しの夢をよく見るとのクライアントがやってくる。
そこからどたばたが始まる。
ジョーは、地元生まれの黒人。不況の煽りで長年勤めた地元工場が閉鎖。旋盤工だった中年、短躯、禿げかかりという彼はやむなく私立探偵で凌いでいる。うだつはあがらない。相棒は黒猫のホワイティ。
が、生来のお人好しで、困った他人の問題に何故か首を突っ込むはめに。
英国のロンドンからちょっと離れた廃れた工場町の、黒人やインド人、パキスタン人などマイノリティを虐め尽くす社会の風潮を、恐ろしい程に暴いてみせる。が、レジナルドのユーモアたっぷり、ペーソスに富み、たいへんセクシーな筆致が、ついつい読者を引き込んでいく。
原題は、『BLOOD SYMPATHY』
この前に読んだ『探偵家業は運しだい』がおもしろおかしくて、第一作をアマゾンで取り寄せ読んだ次第。
気に入ると作者の全作を読破したくなる癖があるのだ。
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