『僕のオペラ』

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読書日記

2011年08月16日

『僕のオペラ』 吉田秀和 海竜社 1500円+税

ここ数年、オペラに興味を抱き始めている。
この夏休み、日がな一日DVDで好きなオペラを観る贅沢を味わっている。
本屋で見つけた『僕のオペラ』という音楽評論で高名な吉田秀和のオペラ評を読みながら。
チューリッヒ・オペラのアーノンクール指揮「コジ・ファン・トゥッテ」を観たら、著者もこのDVDをこの本の中で取り上げていた。
私は姉娘フィオルディリージ役のチェチーリア・バルトリが気に入った。彼がどう観ているか読んでみたが、彼はアーノンクールについてふれているだけだ。
そして、数あるモーツアルトのオペラの中でも「フィガロ」「魔笛」「ドン・ジョバンニ」以上で、格別に高く「コジ」を買うということだった。

この本は、1950年代以来、新聞や雑誌に載せた音楽評論をまとめた『吉田秀和全集』白水社から抜粋したものを一巻にまとめたもの。
だから、オペラ演奏、その見方楽しみ方の歴史ともいえよう。
まだ映像録画の技術のなかった頃、劇場へ行く以外はもっぱらレコードで音だけで聞いていた時代があった。
次にCDでいい音が聞こえた。それから、ビデオ、VHD、LD、などがでて、DVD、ブルーレイ等と画像・音質がよくなって、劇場に行かなくても身近でオペラを楽しめるようになったと、評論家のところに届く多数のCDやDVD、かつてはレコードであったろう、の技術面からの見方も面白い。

400人など多数の人々の思いで出来上がるオペラ舞台の裏側、歌手は勿論、指揮者、演出家、照明、その他の人々の主張の闘い、まとまり具合など、興味は尽きない。
海外の劇場での鑑賞多数、国内、日本人の演奏するオペラ、バレエなどなど、著者独特の厳しいが暖かな評論は、その文体とともに
平易ながらとても深みがあって読み応えがある。

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