『警視の因縁』

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読書日記

2015年07月17日

『警視の因縁』 デボラ・クロンビー 講談社文庫 1100円+税

警視シリーズの第13作目。
スコットランドヤードのキンケイド警視とノッティング・ヒル署のジェマ警部補の警察物。
著者は米国在住の米国人のためか、英国探偵物としては英国風土の描写が表面的な嫌いがある。どちらかというとストーりーテラーだ。
しかし13作も続くシリーズ物で面白いことには遜色ない。私は2部除いては全て読んでいる。

今回は英国の持つ大きな社会問題の一つ、移民問題について、特にパキスタン人、バングラディシュからの移民に焦点を当てていて、読み応え充分だ。
英国はインド、フランスは地中海アフリカなどの元宗主国。平たく言えばその植民地主義が今日に至って責任を取らされている形だ。我々日本人も同様の問題が突きつけられているが、ヨーロッパ社会は我々の考えをはるかに超えて人種の問題が、大昔から今日に至るまで歴史に繰りかえされているのである。 宗教問題になり、人種問題になり、地政学的に大きな攻防が展開されてきた。ユダヤ人に始り、イスラム人との攻防、アフリカ系黒人の奴隷売買、インド。アジア、そして南アメリカの植民地政策、イスラム国の問題などなど。
簡単に解決が付くものではない。
日本はその尻馬に乗る必要は全く無いのだよ、安倍さん。安倍さん、もっと勉強しなさい。

さて、キンケイドとジェマの関係はめでたしめでたし。
次にはどんな事件が待ち構えているのかな。

 

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