『おとこ友達との会話』

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読書日記

2012年03月12日

『おとこ友達との会話』 白洲正子 新潮文庫 476円+税

気持ちが恐れざわついている時に本を読むと落ち着いてくる。
そして文庫本は寝床で読むには軽くてうってつけ。
題名に惹かれてこの本は選んだ。

白洲正子は学習院の学風を嫌って14歳で渡米。
19歳で帰国。即白洲次郎に一目惚れし結婚。そして、戦禍。
という経歴であるのに、何故かとても日本の文化に造詣が深い。
4歳から能を学んでいたためか。
『白洲正子自伝』に詳しい。

このホームページで掲載している「こころをスローにすること実行委員会」で、彼女の戦中からずっとの住まいだった「武相荘」を見学したことがある。

『おとこ友達との会話』は、それぞれの道に深く関わっているおとこ達と、能の世界はもちろんのこと、利久、吉野の山、京都、骨董、南北朝、森などなど日本の文化、学芸、自然など広きにわたって、実に奥深い対話を闊達に楽しんでいる。
本物の絵や骨董、人々に囲まれ、本物との日常自然な交流関係の中から育ってきた者の当然の結果か。
それと、自身好奇心旺盛で、足を使ってどこまでも追求して自分の眼で確かめる気概(韋駄天のお正と言われる)、そして文章にまとめていく、こうした作業の出来る人なのだ。ただの深窓の麗人はいくらでもいるだろう。

この会話の続きを、出来れば我が自分の足で辿ってみたくなった。
「おんな友達」では、編集者としては意図した内容にはならなかったのだろうね、きっと。

 

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