『受いれる』 加島祥造 小学館 1400円+税
私の通う太極拳の教室では、先生の兄上の師範が直筆でその都度思うことをコピーして配布して下さる。すでに977号に達する。昨年末に配られた中に、"「はじめの自分」に還るひととき"、があった。加島祥造著『受いれる』から引用して、
はじめの自分は
いつも穏やかだ
なぜって
ただ来るのを
受いれるからさ
無理に求めないからさ
太極拳のひとときは、「はじめの自分」につかの間還るひとときと言えましょう、とあった。
早速、アマゾンでこの本を取り寄せた。
著者は90歳を超えている。英米文学の教授を長らくしていた。現在信州伊那谷に住まいして詩作、墨彩画など制作している。
『求めない』というベストセラーも書いている。ベストセラー嫌いの私は知らなかった。"嫌い"に拘るのは止めて、「受いれる」ことを心掛けることにしよう。
はじめに
これは
あなたの中にある
「はじめの自分」と
「次の自分」の話しです。
このふたつのバランスに気づき
両方のバランスをとることーー
それがあなたのやすらぎに
つながる道だ。
で始まる。次に、
序章 受いれる
受いれる
すると
優しい気持ちに
還る
受いれる
すると
固くこわばっていた体に
柔らかさか戻る
受いれる
すると
自分の心が
意外に広いと気づく
心が広いから
受いれるんじゃあないよ
受いれると
広がるんだ
と、続く。
「はじめの自分」とは、生まれた時の赤ちゃんの命そのもの。自然の自分。
「次の自分」とは、社会的に作り上げられた自分で、親として、会社員として、指令を出す人として、出される人として、競争や恐怖、変化、自尊心等々と戦っている、いわば社会の自分。
このバランスをとるために、「受いれる」ことの大切さを、平易な優しい言葉で、いわぱ詩的に謳っている。
こころが開けていく。
最近、こういう著作がこの歳になってようやくしみじみと分かってきたような気がする。
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