東京銀座に出かける日、『海賊と呼ばれた男』を読んでいてたいへんな興味を覚えていたので、丸の内にある「出光美術館」に行った。
丁度、わたしがもともと関心を抱いている「オリエントの美術」展を開催していて、これまたおおいに感激した。
出光は、中近東文化センターというコレクションを他所にもっていて、その改修記念にこの出光美術館でその一部を展示したはこびのようだ。
英国に虐げられていたイランの、国家を救う手助けにイギリスによって封鎖されていたイランの石油を買いつけるという、義憤溢れた快挙を成し遂げた縁で、多分出光と古代イラン文明との出会いもあったのではなかろうか。
壮大な男のロマンを感じる。
イランの前5000年や前4000年の土器の出土品や、エジプトの前4000年の土器出土品、エジプトの前1000年の木棺蓋や青銅の朱鷺の像、朱鷺のミイラなどなど、そして、15、16、17世紀頃のイランの青銅のインク壺や香炉、トルコの陶器、などなど。丁寧な蒐集に感心する。
ローマ時代のガラス技術の革新も綺麗だ。まだガラスが透明なものではなかった時代。東地中海やシリア辺りから発掘されている。前3世紀のもの。
そして、イスラム美術。9世紀以降の陶器や紙、ガラスの品々。
さらに驚いたことに、ノルウェーのオスロ美術館から毎年3点のムンクを借りて公開している。「叫び」に似た「秋」という作品が展示してある。
それから、ルオーのコレクションも半端ではないのだ。
出光佐三が「仙香vを父に買ってもらったことから始まった美術品のコレクションがここまで大きくなったのだ。
兎に角すごいことをした日本男子だ。
世界各地の陶磁器蒐集は当然だが、陶片も大切に蒐集し、資料として開示している。
目の前に皇居を一望するロビーも、最高の立地だ。
もう一度、是非いってみたい。
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