過日、能鑑賞の充実した1日を過ごした。
国立能楽堂にて、金春会定期能。
能 「田村」
狂言 「鬼瓦」
能 「熊野」
能 「阿漕」
「田村」と「阿漕」は前にも観ているが、「熊野」は初めて。ゆやと読む。京で平宗盛の寵愛を受けている遊女熊野は、老母が重病との知らせを受け宗盛に暇乞いをするが叶わず、清水寺への花見に同行する。花見の最中に村雨が降り、散る花に母の命を重ねた歌を詠んで、帰郷を許されるという筋。
能は、想像力を逞しくして観ているとたいへんにいい。昔の人々の自然を愛でるこころ、親子の情愛、もちろん思い人とも。
「田村」は、坂上田村麻呂が清水寺を建立した経緯の話。
「阿漕」は、伊勢の二見浦で禁漁を余儀なくしていた漁師の、仲間に裏切られ海底に沈められる責め苦を恨む話。
鑑賞後、ご一緒させてくださる方と久々の会食へ。タクシーでの道中、辺りは桜の満開で華やかな風情を醸し出している。春の華やかな宵の一時、「日本はいいところですね、日本人もいいですね」と、この良さが失われないことをいろいろと話した。
阿漕の中で、西行法師の話が出てきた、本名の(佐藤)憲清で。そこで帰宅して、白洲正子『西行』を読む。
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