能二曲

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スローライフ日誌

2016年10月03日

昨日、国立能楽堂で能を鑑賞した。
いつもの金春会定期能である。二曲観て、夕餉の席に移動した。

昨今の世の中、特に政治において国会、首相以下、地方議会(都議会も含む)、地方議会議員らの、愚かというか恐ろしいほどのこころの肥満と腐敗振りを知るにつけ、腹立たしいやら怖いやらで憤っていたので、久々に束の間、こころに落ち着きを取り戻せた。

能は素晴らしい。詞章一言一言にこころがこもっている。まだまだ未熟者で十分理解はできていないのだが、その他、笛や鼓、太鼓、地歌の響き、装束、そして特に能面を観ていると妖しい世界に引き込まれていく。

今回の能は、

「巻絹」
帝が霊夢を蒙り、千疋の巻絹を三熊野に納め申せとの宣旨があった。が、都からの巻絹がなかなか届かない。都から巻絹を持った使者が、途中音無天神の境内に咲く冬梅に誘われてて歌など詠んでいたため、納期に遅れたのだった。
使者は到着して捕らえられて縛られてしまう。
そこに天神が憑いた巫女が現れ、縄を解くように言うが信じられない。そこで使者が詠んだ下の句を明かすと信じられ、縄を解かれる。
巫女は和歌の功徳を歌った曲舞と神楽を舞う。熊野の霊場を讃える舞がいい。

「狐塚」狂言
狂言は能の合間に演じられ、気楽に気分を解してくれる。
狐塚と呼ばれる田に群がる鳥を追い払うよう主人より言いつかった太郎冠者と次郎冠者が夜は悪い狐が出るといわれている狐塚まで鳴子を鳴らしつつやってくる。
夜になり二人はそこの庵で休むことにする。主人は二人を労らおうと酒を持ってやってくる。それを不信に思った二人は主人に化けた悪い狐と思い込み、鳴子の縄で縛って逃げてしまうというお笑い。

「松風」
旅の僧が、須磨の浦で、汐汲み車を引く海女の姉妹と出会う。彼女たちは「松風」と「村雨」の幽霊であると告げ、流されてきていた在原行平との恋物語を語る。(行平は在原業平の兄、兄弟揃って恋物語の多き御仁だ) 行平は必ず戻ると言い残して上京し京で直ぐに死んでしまう。
松風の幽霊は、行平を慕うあまりにこころが乱れ、そこにある一本の松を行平と思い込みかき抱いてしまう。村雨がそれは違うと止める。行平形見の烏帽子と狩衣を身に着けて踊る松風の舞がいい。
「松風」は詞章が優れていることで有名。


* この日は女性が演じた。「巻絹」のシテとツレ、小鼓、地歌(8人)は女性だった。
「松風」は、シテとツレだけが女性だった。


能はいいものだ。

 

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