千葉のスローフード鰯は読んで字の如く、直ぐに弱る。 地元で捕れたいきのいい鰯を、きれいに洗って、身だけ叩き、細かくなったらすり鉢で擂り、味噌を味付けに適量擂りこむ。これがつみれ。臭み消しに生姜汁をたらしたら、風味が増す。 大根、里芋、人参、きのこ、茄子、臭み消しに葱、ごぼうなど、季節の野菜といっしょに煮込めば、美味しい鰯のつみれ汁の出来上がり。 味付けは、味噌でも塩でも、醤油でも。薄味で。つみれから味のいい味噌味がしみ出て来る。 美味しいことこの上ない。 子供の頃、母がよく作ってくれた。 地引網であがった鰯を、ぼて振りといって、海から直ぐに、その当時はもう自転車だったが、箱に積んで売りに来る。ぼて振りとは、多分、もとは天秤棒のようにして大ざるで担いでいたから、その名称だったのだろう。 鰯は新鮮そのもの。 忙しい母の手間が空いたときなど、鰯をすり、味付けをして、すり鉢から杓子で小分けしながら次々に鍋にいれていく。 すり鉢を押さえているのが私の仕事。たまにすりこ木をもたせてもらって、すってみるが、だんだん上にあがってきてしまって、下手。第一重たい。 母は、見事に上から下へとすりおろしていく。 正にお袋の味。 我が家では、だんご汁といっていた。 入れる野菜も、家の畑でとれたものばかりだった。 (05.10.01) |
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