悦子の談話室

ご近所の訃報

     
 

いつも会うと、とても丁寧に立ち止まって礼をし挨拶をする年配のご近所さんがいる。
うちの夏みかんを誉めて下さるので分けたりする。

小学校校長を務めあげられたというご主人の方とも、2、3週間前立ち話をした。
私の車を羨ましそうに見て、誉めて下さる。
"いい車だ。素晴らしい。私は残念だが身体を壊して車は手放した"と。

そのご主人が亡くなったとの町内会の訃報回覧板で驚いた。
享年86歳。
そういえば、亡くなったとされる夜、救急車が近くにきたサイレン音を思い出した。
どちらかなと心配にはなっていた。
近所は年配のご家庭が多いのだ。

弔問に行った。
奥さんは、"私に何の世話もかけませんでした。父の日だからと嫁娘が鰻を買ってきてくれて、美味しいといって食べた。夜トイレにいって、バタッと音がして、それでお終いでした。5分もかからなかった。救急車で病院に運ばれ、そのまま葬儀場に連れて行かれてしまいました。何の世話も出来ずに悔やまれて悔やまれて…"と、泣いて顔が上げられない。

がらんとした家の中で、ポツンと。
お悔やみの言葉の掛けようもなかった。

(10.06.22)

 
     

[悦子の談話室へ]

 

NewChibaProject