悦子の談話室

芸術の秋三題

     
 

昨日、三越劇場に、劇団若獅子公演藤沢周平劇場「山桜」「時雨みち」を観劇に出かけた。
友人の光元幸子さんがゲスト出演している。
彼女は本当に美しいです。(今回は珍しく汚れ役もありました)
時代劇は、あたふたとした世相にあって、こころの救いというかスローにしてくれて有り難い。藤沢作品ということもあってか。

一昨日は、四国松山で仕事の合間に、愛媛県美術館で「ベルリン国立アジア美術館所蔵日本美術名品展」を鑑賞した。
歌麿や北斎、狩野派、俵屋宗達・本阿弥光悦、渡辺崋山などなど、優品が展示されている。
中でも珍しいのは、ドイツのある民家の屋根裏から出てきたという、1805年頃の江戸日本橋通りの賑やかな店や人通りを克明に描いた巻物である。

そして、少し前に観たのだが(本日終了!)、横浜美術館の「源氏物語の1000年」。
源氏物語は紫式部という女性が書いた世界最古の長編小説。
日本の誇るべき文化である。
そして、物語りだけでなく、源氏絵としてその時代時代を反映しつつ代々描き続けられているのも見事である。
私が『源氏物語』を好んだきっかけは、我が家にある桐箱に収められている谷崎源氏を読んだこと。
これは横浜美術館に展示されていた鎌倉時代などの源氏本に引けを取らないもので、和綴じで古文で書かれていて、一見読みずらそうなのだが、読み始めたらその美しさたおやかさに惹かれてのめり込んだものだった。
ただし、戦前の著のため、流石に谷崎潤一郎でもこれは訳さなかったのか、藤壺とのことは一切ふれていないのだ。だから、舟橋聖一訳を読んだら、そのことが赤裸々に記されていて、ほんとかいなと驚いたものだった。
と同時に、平安時代の男女の仲のおおらかさ(それ故に六条の方のように嫉妬に狂うことも半端ではないのだが)が人間味豊かで素晴らしいなと感心したものだった。

(08.11.02)

 
     

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