三木会の定例会で、標記テーマの話しを聞くことが出来た。
スピーカーは、(株)臼福(昭福丸・遠洋鮪漁業)本店社長臼井壯太郞氏。
旧日鰹連ラスパルマス駐在員。
気仙沼青年会議所理事長。
………
昨年3月11日は気仙沼の会社事務所で仕事をしていた。
仕事は遠洋漁業で1年半遠洋での漁に出ている船団や乗り組み員たちの支援が主。
一週間程前にも震度4の地震があった。
またか、でも今日はかなり強いなと感じた。(スピーチ当日もホテルでエアコンが入った音にビクッとされていた)
すると10mの津波注意報が出た。
社員は勿論、家族も高台に避難するよう指示を出した。
高台から海を見ると、波というより海が10m以上盛り上がって白い巨大な台となって押し寄せてくるのが見えた。
津波の時は漁船を沖に出して逃れるのだが、それらが巻き込まれて岸に寄せられ、瞬く間に海岸一帯を海の洪水と化した。
岸には漁船用の重油タンクがあるが、それがなぎ倒されて海の表面一面は重油が敷かれた形で、それが気仙沼の大火事となった。
山の方まで津波が押し寄せたので、火事は山まで広がった。
報道ではあまりなされなかったことだが、山に火をつけて廻る悪い輩が出た。
そして、翌日からは、荒廃したスーパーや店に盗賊が押し寄せ、荒らした。
死体から金品を剥ぎ取る輩も。
中国系窃盗団だ。
自衛団は危なくて作れなかった。
窃盗団は銃を持っていて、警察官が撃たれて死んだ。
臼井さんは、会社や自宅は壊滅したが、高台にある親の家で家族全員無事を知った。
仕事仲間に、「うちのものたちがまだ見つからない。探して」と頼まれ、パトロール中に子供は一人見つけたが、後は見つからずなかなか遺体置き場に行けずにいたら、1週間ほどして「見つかった」と連絡が入った。家族全員親たち奥さん子供たちが流されたバンの中で死んでいた。
1年経ったいまだに、ビルの残骸の下から遺体が見つかっている。
地盤沈下で被災地はちょっとした雨でも海のようになり魚が泳いでいたりする。
こんな状況下で、気仙沼の復旧は遅遅として進んでいない。
国、自治体トップと地元との意識のズレが余りにも大きい。
気仙沼は7割が漁業関係者。であるのに復興委員会に漁業関係者が入っていない。お菓子やさんやイラストレーターなどで検討している。F1など呼び込もうなどといった案を出したり。6mの防波堤を築こうとか。そんなのは大きな津波で直ぐに乗り越えられてしまうのに……。様々な嫌がらせがあったり、と。
この大惨事に学んだこととして、臼井さんは3つあげた。
電気(光)の有り難さ。1週間して電気がついた時の明るかったこと。
食の大切さ。瓦礫や木陰で雨露凌げても、一日おにぎり1個の生活は堪らなく苦しい。
心の温かさ。他の人たちとの支え合いが救いとなる、と。
………
伺っていて、折角生を授かった人々が、さらに苦渋の真っ直中で暮らさざるを得ない状況に、いたたまれない同情と怒りを覚えた。
地元の人たちの思いが活かされる復興は何か。
ましてや政治の具にされていてはたまったものではない。
報道されていることと(私は報道は殆ど見ないが)、実態が余りにも違うことはあり得ることであろう。
臼井さんのお話のような確かな情報に基づいた実のある支援をしていきたい。
(12.04.28)
