契友会とは、東京電力の職場で大口契約に携わっていた人々の私的OB会。
年1回開かれる。
77歳の人もいれば58歳の人もいて、完全にリタイヤーの方々が多い。
話題は、悠々自適の過ごし方、老親の介護のこと、夫婦助け合いのこと、そして現役の頃の昔話。
仕事の話しになると、「みんな記憶力がいいな」と互いに誉めあっていた。
30年前に、成田空港開港のための送電に苦心したこと、まっさらな滑走路をフルスピードで試走したこと、電気の開閉スイッチを始めてONに入れた時の感激などなど。
その前の、東京オリンピックのための送電の苦労、などなど。
これは、単に記憶力がいいだけのことではないのではないか。
日本経済社会の大きなエポック毎に、骨身を削って大量電力を送るという仕事に取り組み、その結果が実像として歴然と残っている。そういうものすごい仕事を果たしたこられたのだ。
だからその記憶が、身に心に焼き付いているのである。
電力事業とは虚業と違って、まさに実業そのものなのである。
私は省エネルギー関連の仕事が多く、契約の仕事には関わりなかったが、それでも原子力発電所建設現場や他の発電所、ダム、ウルトラハイボルト用の鉄塔、送電線建設現場など、多くの現場をヘルメットをかぶって見学したものだ。
そんなことを思い出しながら、もう卒業したはずの電力事業の、日本の基盤を支えてきた実のある力に改めて感動し、諸先輩方のお話を涙が出そうになるほど懐かしくうかがったものでした。
(08.05.23)
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