訃報が回った。町内会の副会長を15年努めてくれた女性だ。彼女の後、私が副会長を引き受けた。私は1年で辞めた。5人も副会長はいらないから。いわばわたしが彼女の副会長辞任の引導を渡したのだった。
私は風邪のために通夜は控えて告別式に出席した。
享年82歳。喪主の息子さんが始終涙を堪えていた。82歳はいかにせん若すぎる。
教員を勤め上げた気丈な女性だ。数年前腰を痛めて歩行が不自由になった。「そこ、ほら気を付けてよ」と声をかけると、「うるさい!」と笑いながら応じていた。食べ物を喉に詰まらせそうによくなり、背中をさすってやったりもした。
1カ月前頃から施設や病院にいて、結局誤嚥性肺炎をひきおこしてしまったらしい。
納棺の時お顔を拝ませてもらったが、あまりにも変わってしまったお顔で驚いた。"どうしたの、早すぎますよ、ゆっくりと休んでください" と合掌。
あまりにも早すぎる。私は怒りにも似た気分だった。あんなに強くて芯は優しい人だったのに。
ご近所の奥さんは声を出して泣いていた。よほど悲しかったのだろう。でも、ちょっと興ざめ。泣き女でもあるまいに、息子さんが必死に涙を抑えているというのに。
合掌。
(16.11.04)
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