悦子の談話室

吉本隆明逝く

     
 

吉本は戦後の思想界に大きく活躍していた知識人である。
私は大学時代にその活動を知った。今から45年くらい前になるな。
最後に読んだのは、『思想とはなにか』。笠原芳光との対話集である。
また昭和が遠くなった。
日本に思想がなくなった。(合掌)

吉本の死を、テレビでニュースを見ようと付けた途端にどこかのチャンネルのワイドショー的な番組で、朗らかな顔をした女性キャスターが「吉本さんって知りませんでした。吉本バナナさんのお父さんですってね、はじめて知りました」とやっている。
男性キャスターも「僕もあまり知らなくて…」と。
直ぐに消した。

私は怒り狂った。
テレビで露出して、この露出という言葉の使い方も気にくわないが、この場合は正に露出して、自分の無知蒙昧さかげんを恥ずかしげもなく披露している。
すくなくとも仕事上でも、にわか勉強でもいい、事前に調べて人前で発言するべきだ。もし吉本バナナを本当に知っているのなら彼女の氏素性に当然関心をもち調べたくなりやしないか。
考えること、思うことがなくなっている輩がオピニオンリーダー???
この為体でおそろしくも無責任にもテレビが情報を加工流していて、一億総はくち化しているのだ。

暫くわたしの怒りは収らなかったが、私は元のように怒ることができるようになったなと、元気回復の兆しに嬉しくもなった次第。

(12.03.20)

 
     

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