催しいろいろ
昨夜、東京晴海トリトンスクエアの第一生命ホールにて、バルカン室内管弦楽団東京公演があった。岡谷市、金沢市、京都市など東京以外でも行われ、都合8回開かれた。
指揮柳澤寿男。
昨夜は最後。明日はそれぞれの国、故郷に帰っていくとのことだった。
バルカンはかつては世界の火薬庫とまで言われた。民族紛争、宗教紛争が絶えず、第一次世界大戦のきっかけとなったサラエボ事件は教科書でも習ったはず。第二次世界大戦後も旧ユーゴスラビアなどなど、まだまだ政情不安定な地域がこのバルカン地域である。
この地で、初めて、民族の壁を越え、宗教の壁を越えて、かろうじて一つの楽団を造ったのが、指揮者の柳澤寿男氏。サラエボ事件から100年を経る。この経緯を柳澤氏は著書『バルカンから響け!歓喜の歌』に綴っている。
" 音楽には人々を繋ぎ平和を生むチカラがある
すべては思いを共有することから始まった "
とパンフレット表紙に。
素晴らしい、力強い演奏だった。生きていることを主張するかのように。
男女23人のバルカンの人々。演奏後はそれぞれの国交なき国境によって分かれてしまう。会うこともままならない。密かにこの楽団でのみ会えるという、われわれ日本人には想像を絶する世界だ。演奏後メンバー同士が堅い握手を交わしていたのが印象的で、見ていて涙がにじんできた。人間は強い。
こうした活動を続ける柳澤寿男氏は日本の誇りだ。
今年の10月にはジュネーブのジュネーブ国連欧州本部での演奏が決まっている。
(16.06.11)
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