第26回会合のもよう

千葉ウィメンズ・フォーラム

こころをスローにすること実行委員会

2009年06月07日(日)
12:30〜17:30
国立能楽堂にて能鑑賞

金春会定期能を鑑賞。
知人で金春会会員、この国立能楽堂で「俊寛」のシテを演じたことのある方のお心配りで実現しました。

正面から望む。本舞台。本舞台を支える4本の柱。向かって左手に伸びる橋掛り。そして場幕。
本舞台から正面に降りるキザハシ。客席と舞台を隔てるように白洲の玉砂利。観客席は見所(けんじょ)というそうな。

入り口ロビーに、素面の女神二人?!!?

12時半始
番組
能 加茂 シテ 櫻間右陣
狂言 鬼瓦 シテ 野村万作
能 杜若 シテ 櫻間今記
能 天鼓 シテ 本間芳樹

全くの素人だが、能は心持ちを深くスローにしてくれるので、知人に誘われて何回が観ている。
番組全部を観ると終わるのが5時半。
スローのメンバー中心に10名で鑑賞しました。

知人が詞章(謡本)をコピーして下さったので、スローの参加者にもコピーを事前に配布。
しっかりと予習や当日持参してそれを見ながら鑑賞することができました。
でなければ、やはり理解は難しい。多くのひとがそうしている。

能「加茂」は、賀茂三社の縁起を語り、五穀豊穣神徳を称えるあらすじ。
室明神の神職が都の賀茂社に詣で、川辺に白羽の矢が立てられているのをみて、これは何かとそのいわれを水くみにきた2人の女に問う。
昔この里に住んでいた秦の氏女がこの川の水を神に手向けていた。あるとき白羽の矢が流れてきて水桶に止まる。それを持ち帰って軒にさしておくと懐妊し男子が産まれた。
男子に男親は誰かと問うと白羽の矢をさしたという。
すると白羽の矢は別雷(わけいかづち)となって天に轟く。

狂言「鬼瓦」は、題からして可笑しい予感。
立派な御堂の鬼瓦が誰かにそっくりだという話し!! 誰に?? あははっ。

能「杜若」は、絶世の美男といわれた在原業平と杜若の美しさを披露するもの。序の舞の美しさには思わず引き込まれる。
僧が道中三河国の沢辺に美しく咲き誇る杜若に見ほれていると、一人の里女が現れここは八橋で、在原業平が東下りの折ここの杜若を愛で、"かきつばた"の五文字を各句の頭に置いた「からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもう」と詠んだところという。そして一宿を提供する。
(僧が夢見する夢物語) 初冠に唐衣を着た杜若の精が現れる。初冠は業平が元服を宮中でとりおこなったという滅多にない誉れの時にかぶった冠で業平を現し、唐衣は業平が愛した二条ノ后 高子の御衣を現す。そして、業平は当時歌舞菩薩の化身とも信じられていて、序の舞が舞われる。
兎に角、このシテの面、そして舞が美しかった。

能「天鼓」は、中国のある夫婦の妻は天から鼓が降り下って胎内に入る夢を見、男子を生む。その子に天鼓という名を付ける。本物の鼓が天から下りその子の手に入り、たいへん美しく奏でる。評判を聞いた天子が鼓を献上するよう命ずるが、少年は拒み逃れる。が探し出されて呂水に沈められ、鼓は召し上げられる。
この鼓、誰が打っても音が出ない。天鼓の老父が宮中に呼び出され打てと命じられる。老父は愛児を失って日夜悲嘆にくれている。自分も罰せられるを覚悟で打つと妙音を発した。
この奇跡に天子も親子愛の哀れを感じ、幾多の褒美を与え、天鼓を篤く弔うといって老父を帰す。
呂水の堤で追善の管絃講が行われ、天鼓の霊が現れて鼓を打ち楽を奏し、喜びの舞を舞う。

以上、今回のあらすじです。

能は時間が来れば自然に始まり、いつの間にかシテ、ワキ、地謡・囃子方の順に退場して終わり、という舞台と観客の間に幕のないものです。
多くの能が、後場で「ワキの見た夢物語を観客も一緒にみる」構成にもなっているので、観客は夢とも現実ともつかないぼーとした余韻にひたっていていいものです。
ですから、拍手は本来ならばなくていい、どうしてもしたければ地謡と囃子方の退場の時だけ。
でも、この頃はシテの退場で1回、ワキ退場で一回、おかしなときには作り物を後見が下げるときに1回などとありますが、どうも…らしいですよ。


…………
皆さまからのご感想

・ 以前に国立能楽堂で能を見た
ことがありましたが、今回は頂いた
謡本を読んでいき、座席でも謡本をひざにおいて
いましたので、コトバがすべてわかり、理解が
助けられました。日本の古典の能はすぐれた
芸術であることについて、初歩ながら理解が
進み、得難い体験でした。
最後の天鼓も観たかったのですが、椅子に
座るのが少し痛くなったので失礼しました。
これを機会に今後
能を時折鑑賞してみたい気持になりました。
野村万作さんの
狂言はすばらしく、ラッキーでした。
オペラの歴史と同じように幕間に狂言が
発生したのは面白い一致ですね。


・ こころスローな能鑑賞でした。ありがとうございました。
  最後の演目もきっと皆さまご堪能と想像しています。
  実はあのあと夫と待ち合わせて、懸案を一つ片付けてきました。
  都心に出たついでに、エイヤッと(笑)いうわけです。
  明日から数日は義妹と共に山小屋で・・・。スロースロー。

・ 早速ご自分のブログでレポートの人。

・ 素晴らしい金春会でした。
  気品に満ちた能の動きに魅せられ、94歳の姉に早速報告いたしました。

・ この人もご自分のブログで報告しています。

・ いろいろとお手配下さった方にどうぞよろしくお伝えくださいませ。
  終戦直後から能を鑑賞され、ご自分も舞台で能「俊寛」のシテを演じられた方とか。
  それ程の方にお席お隣りにさせて頂きご指南いただくなんて、そうそう巡り会えることではなく、素晴らしい時間でした。
  演し物も趣き深かったです。
  ここ年に何回か能を鑑てたのですが、間(狂言)が入るのは初めてでした。
  「杜若」では、ワキの宝生欣哉さんが流石に将来有望株といわれるだけあって美しく凛として、こちらが江戸紫の静かに咲く杜若のようでした。シテの櫻間金記さんの仕舞いもお上手でした。
  狂言「鬼瓦」の万作さんは、流石に動きも表情も万作さんらしくキリッと楽しさがしんしんと伝わりました。

・ ホームページを拝見しました。しばし幽玄の世界に遊ばれて、これぞスローライフの真髄と存じました。
  次回のご連絡楽しみにしております。


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