エネルギー・フォーラム社刊「イーピーレポート」視点欄に連載している最近のエッセイ

ドイツの風力発電”(2007年02月11日)

昨暮、北東ドイツを訪ねた

旧ハンザ同盟沿いにハンブルグからツェレ、ヒルデスハイム、ハーメルン、ゴスラー、クヴェトリンブルグ、エアフルトと。

ここら辺りはゲーテの『ファウスト』に出てくるハルツ山地をぐるりと廻り、オットー大帝が10世紀半ば神聖ローマ帝国初代皇帝となった縁の地である。木組みの美しい中世街並みが復元保存されていて、ブロッケン現象や魔女伝説のある地。グリム寓話集の生まれた地でもある。耳元に「騙され易いお馬鹿さん…」と、メフィストフェレスの声が聞こえてくるようである。

そしてライプツィヒ、マイセン、ドレスデン、ポツダム、ベルリンと。

いずこも第二次世界大戦の空爆で壊滅状態におちた街だが、重要な旧市街地や建築物を瓦礫を拾い集めて元の姿に復元再建していた。
ポツダムでは、日本が無条件降伏勧告を受け入れず二度の原爆を落とされるにいたったポツダム宣言作成の会談が行われたツェツィリエンホーフ城の食堂が、教科書でみる写真の通りに残されていて、歴史の過ちを肌で感じさせられた。

ヒットラーの遺産で唯一今日に役立つものはアウトバーンであろうか。これは古代ローマ時代から作られていた道路網を現代戦に使えるよう整備し直したものだが。

今日は、アウトバーン両側に広がるジャガイモ畑や小麦畑の向こうに、あるいは道路沿いに、風力発電の風車が林立している。

初めはハンブルグを出て直ぐに少し見かけたのだが、どんどんとその数が増えてくる。ゲーテ街道、ワイマールの近くやライプツィヒからマイセンに向かう幹線道沿いでは、もう数え切れなくなった。一ヶ所に500基以上建っているところも。

ドイツは自然エネルギーへの転換政策が進められていることは周知だ。それが作文上の方針ではなく、現実にこれだけ既に展開していることを目の当たりにすると、圧倒され、驚嘆のほかはない。

日本でもRPS制度があるが、風力発電への取組みは弱まりつつあるように聞いた…。

 

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