エネルギー・フォーラム社刊「イーピーレポート」視点欄に連載している最近のエッセイ

食品偽装”(2007年12月11日)

 今年は食品偽装をしていた会社の発覚が次々と後を絶たない。
  偽装ではなく、正しくは食品「不正」だ。これらの事件で表面化したのは多くの会社の偽装体質である。原料、産地、期限表示を偽る、消費期限切れの材料を使う、など枚挙にいとまがない。呆れ返る。

 今日の日本の食生活は手軽で豊かで高級志向が強い。流通の発達のおかげで、殆ど全国で各地の銘柄が手に入る。いきおい生産者は販売拡大に努め大量生産の道を辿るのであろう。売れ残りの量も半端ではあるまい。今日では消費者は己の食生活を業者に頼らざるを得ない。表示と価格をしっかりと見て較べて判断し安心して安全な食品を買っていた。そのはずだった。が、大いに信頼が裏切られた。

 食中毒事件など起こしてはいないという業者もある。が、筆者は怪しい体験を思い出した。ずっと以前であるがあるスーパーで未調理のハンバーグを買って家で調理した。が、脂がぎとぎとで不味く殆ど食べられず、その晩酷く気分が悪くなり嘔吐した記憶が蘇ってきた。その時はこちらの体調でも悪かったのかと敢えて届け出などはしなかった。当然二度とそんな愚行は行なっていない。

 解凍日を製造日と表示していいかと業者が保健所に相談したが、その保健所はJAS法違反の疑いを見逃したというのだから、これでは行政もあてにならない。

  残るは生産現場にいる従業者の良心である。この商品を自分は買うか。家族に、子供たちに食べさせられるか。食品は人間の命につながるものである。食品偽装事件が発覚した多くは告発によるものだ。匿名の告発が役所にあっても、1年以上も役所で放置していた例もあったというが、内部告発制度を整えるよりは、従業員に告発などといういやな行為に至らしめないですむ、日頃の正当な経営活動がなされていなければなるまい。

 不正を従業員やアルバイトのせいにした会社があったが、デシジョン・メーキングまで偽装するつもりか。   

 

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