両親の残していった物の整理に着手する。
共に明治生まれだったので、物持ちのいいこと! 家いっぱいの物は全て処分してもいいのだが、やはり思い出深い着物や品々が多く、結局虫干しに終わってしまう。しかし、今回は思い切って少し処分することにした。
可燃ゴミで処分できるものは袋詰に4個、粗大ゴミとして、整理箪笥一棹、足踏み式ミシン、座卓2個、座椅子3個。
足踏み式ミシンは、戦後から、母がたくさんの洋服を縫っていた思い出がいっぱい詰まっている。でも、「ご苦労様、有難う」と言って別れることにした。
外は夏空が広がる。母が、「暗闇が上がるよう」とよく言っていた、黒に近い青空である。
油蝉、みんみん蝉、かなかな、つくつく法師と蝉が鳴き競う中、鶯も負けじと鳴き、そこへ鶏やら犬の鳴き声が混ざって、賑やかだこと!
成田空港を発着する飛行機の飛び交う音もする。
* 足踏み式ミシンは、母が使い始めてから50年以上はするはず。使わなくなって15年はするだろう。母の手入れがよく、まだ完璧に動く。FUJI JANOMEと刻印されている。
これを見た若い甥が、粗大ゴミで出すことにまったをかけた。古い物を大切にする心はいいことだ。
彼の意を汲んで、また当分置いておくことにした。内心わたしもほっとしている。
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