田舎は月遅れのお盆である。
13日にお墓に仏様を迎えに行って、提灯にろうそくの灯をつけて家の仏壇に連れてくる。途中で灯が消えないようにする。消えると仏様が迷子になってしまうそうな。
九十九里地方はお盆には仏壇に盆棚を飾り、野菜や果物を供える。
これは男の仕事とされていた。九十九里では神事や仏事を男が執り行うしきたりであった。明らかに男尊女卑の思想。女体は穢れているとされ、漁船には決して乗せない。お正月の雑煮も男が作るとされてきた。
家事、育児、野良仕事、裁縫などに毎日追われて働いていた亡母は、これはいい休めるとばかり、"女の人にたまには休みなさいということだよ"と、幼いわたしに笑いながら話してくれたものだ。
その親たちが仏様となって帰ってきている。
兄が大汗をかきながらいつものようにお盆飾りを仕立てた。
お盆の13日は、どの家も遠くに住む子供たちがそのまた子供たちを連れて帰ってきていて、夕刻、みんなでお墓に行ったり来たりで、道は提灯を手にした人々でひとしきり賑わう。
わが家も、兄夫婦、姉、甥家族が1歳過ぎの長女を連れてきてくれ、仏様も久々の大賑わいに満足でしたでしょう。
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