『注文の多い料理店』

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読書日記

2020年02月14日

『注文の多い料理店』 宮沢賢治 新潮文庫 440円+税 

迂闊にも宮沢賢治を初めて読む。いろいろなところに宮沢賢治が引用されているので以前から読みたいとは思っていたのだが。
読んでみて驚いた。比類なき感性の持ち主だ。岩手県花巻に豪商の長男として生まれ、日蓮宗徒となり農学校で教鞭をとる。過労がたたり肺結核に侵され37歳かそこらで病没。
この『イーハトヴ童話 注文の多い料理店』唯一の賢治生前刊行の童話集である。これには「どんぐりと山猫」、「狼森と笊森、盗森」、「注文の多い料理店」、「烏の北斗七星」など童話が20編ほど載せられている。
イーハトヴとは賢治の造語で、自然をこよなく愛した、強いて言えば日本の岩手県をドリームランドとして賢治の心象中に実在した情景である。
其々登場する動物、植物、鉱物、風、星などなどは全て互いに話し、または人間と話す。自然界に人間社会と同じ事を展開させる。賢治はそれらどんぐりや山猫、狼、森、木々などを優しく愛してやまない。そしてその話の組み立てが見事としか言いようがない。
ともかく清らかで素晴らしい童話、不思議とその世界に惹き込まれてしまう。

宮沢賢治という人、よく写真で見るが、その強面とこうした情愛、優しさ、観察眼がどうも結びつかない…、のだが…。

まだまだもっと彼の作品を読んでみたい。

 

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