『安倍「壊憲」を撃つ』 小林節・佐高信 平凡社新書 740円+税
30年来の改憲派小林氏と護憲派佐高氏の対談形式。
憲法が危機にたっている、いつ安倍首相が「出兵!」と言い出すかわからない状況に、百選錬磨の改憲、護憲双者論客が闘争宣言をしたのがこの著である。
小林氏は、先の衆議院憲法審査会(2015年6月4日)で、政府提出の安保法制は違憲であると自民党推薦の参考人ながら発言し、違憲世論を俄に奮い立たせた憲法学者の一人。
日本国憲法の意味がよく分かる。憲法と単なる法との違いも。恵庭事件や砂川事件、沖縄問題、イラク戦争での自衛隊の米軍協力、ひいては選挙制度の在り方などなどを本質的に分析し、いかに現政権が立憲主義、そして憲法を知らず、誤解引用し、自説に合うようこじつけているか、怖くなる。
そもそも、日本では憲法の教育が全くなされてこなかったことが大問題。そして、法律学者先生たちは、法の専門用語の世界に安住し法律用語を使うことでバリアーを張ってきた。
アメリカなど諸外国のように強烈なメディアに曝されることもなかったから、メディアや一般社会に通じる言い方が出来ない。法律学は
いわば「他国の言語」である、との指摘などなど、頷き考えさせられることが多い。
安保法案は通ってしまい、成立した。
われわれは戦後平和を尊び非戦を掲げて70年、今にして「戦争の危険のある状態」で暮らす生活に国家によって追い込まれた。平和的生存権が侵害されている現実を辛くも認識しなければならない時にきてしまっている。
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