『ナイルに死す』 アガサ・クリスティー ハヤカワ文庫 880円+税
『ナイルに死す』を読むのは3度目となる。
私は興味のある本は何度でも読む。読むに至る背景はいろいろとある。今回は、イスラム国など海外過激派の動きで不穏な国際情勢にあり、海外に旅する機会が全く無くなってしまって、そうだ本で追体験をしようということだった。
そしてこの前にアガサを読んで彼女が気に入ったので。読む程に面白い。やめられない。言葉の一言一言が重要な意味をもっている。結末は知っているがそこまでの流れが如何に作られているか読み解く。
ナイル川を遊覧したことはないが、沿岸をバスや飛行機で飛んでいるので、史跡を思い出す。この本が書かれた当時は戦前でまだナセル湖やアスワンハイダムもなかったころだから、アブシンベル神殿など元の位置にあったであろう。現在ある場所は、1960年代アスワンハイダム建設のためナイル川を堰き止めナセル湖を作ると沈んでしまうのでユネスコの協力で別の高台に移され保存されたところなのである。あの当時日本にも募金の動きがあって確か上野公園のどこかの美術館かに何かを見学に行ったとき、それを見つけて私も寄付したな。
戦前に書かれたものだから、こんなくだりがある。英国貴族男性と米国上流階級女性の会話。
「‥それはあなたが文明化されすぎているからだ。死というものを、東洋人と同じように見ればいいんだ。連中には、死は単なる出来事で、ほとんど気にするほどのものではないんだ」
「それはそれでいいでしょう。あの人たち、教育を受けてないんですもの。かわいそうですけど」
「そう、教育は受けていない。その方がいいんだ。教育は白色人種の生活力を奪い取った。アメリカをみればよくわかる。何かといえば文化文化と大騒ぎだ。…」
ふーむ。現在もそんな非文明化のままの考えをしている白色人種がいるのであろうな。
ともかく読ませる。あーぁ、愉しかった!!
次も買った。今度は『メソポタミアの殺人』だ。
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