『神々の指紋』上、下 グラハム・ハンコック 翔泳社 上下各1500円
3月11日の大地震の直後、地球の自然の威力に思い知らされて怯えていた時、偶然義兄の大量の蔵書の中で、この『神々の指紋』が目に止まり、借りてきて今までずーと読んでいた。
海外旅行、特に遺跡めぐりにも関心のある私は、はじめはこの著をパラパラとめくっていた。
が、たいへん壮大な疑問のもと著者が旅していることが段々と分かってきた。
そして、遺跡が、エジプトのビラミッドや中南米の遺跡は、古代文明以前の、1万年以上も前に作られた物ではないかとの、わくわくするような調査、神話の解析を展開していくことに気付いた。
これらの遺跡には、高度な天文学知識と技術が使われていたのではないか?
現代では高度なコンピュータ解析でわかっている天空の「歳差運動」。地球の地軸が天空で押されてゆっくり回転し、地軸の動きが天空十二宮を1周するのに2万5千年かかり、従って天空に見える星座は2万5千年毎に変わってくるという知識を、大昔持っていた人々がいたのか。
地球は、天空十二宮の一つの星座(傾き)で2160年を過ごす。2160×12=25920
因みに現在は、2000年前頃に始まった魚座にいる。北極軸はこぐま座のアルファ星(ポラリス)を指している。
と、大いにこちらの思考力想像力を活性化してくれる、悠久な天体の小さな星地球の、偉大な人々の話なのである。
著者は、実に壮大な仮説のもとに、神々の指紋を辿る旅をしている。
きっかけは、1513年に描かれたという世界地図を見たこと。1818年に初めて発見された南極大陸が詳細に描かれている?!
上巻では、ペルーやボリビアなど、中南米の遺跡を解析していく。
ナスカ高原の地上絵、タスコやマチュヒチュの遺跡などなど。残念ながら私はこれらの地には行ったことがないので余り実感がわかなかった。
が、下巻は、私のとても関心のあるエジプトの遺跡の解析である。
ギザの3大ビラミットやスフィンクス、葬祭殿など、実際にこの目で観ているので、なるほど成る程と、思われてくる。
古代エジプト王朝時代の遺跡と、ギザの台地に刻まれた3大ビラミットやスフィンクスの遺跡群は、その趣きや巨大石の使い方などなどが大いに異なる。
3つのピラミットの並び方は、ある時期のオリオン星座の3つの星の配置をギザの台地に再現したものだった。
その時期とは、歳差運動計算により、紀元前1万450年である。
その当時は獅子座にあり、スフィンクスは元は顔が獅子であったかも知れないと。
北極はベガ星を指していた。
そして、一番大きなビラミッドは地球の北半球の4万3200分の1の縮尺である。
等々、高度な天文科学知識を有していなければ出来ないひとたち仕業ではなかろうか。
そして、歳差運動による天空の異動で星座宮が変わるというのは、極地が天空の極に近づくか離れるかということであり、氷河期にあるのか、それが溶けて大洪水期にあるかということを意味する。
それは地球の大異変を意味し、地殻変動まで伴うものである。
その万年単位での地球の循環を知っていた人々が、大昔にいたということか?!
2千年づつの単位で地球は変わり、自分たちは滅びるが、この時期に居たということを残す「指紋」を付けておくことを考えた人々がいたのか?!
神話に出てくる、大洪水、白い髭の白人、大きな舟に乗って神がやって来るなどなどは、こうした史実の反映か。
話しを最初に戻して、南極大陸地下地帯には、昔温帯地域にしか生息しない植物の化石や山脈後が発見されている。
大地殻変動で、大昔、1万5000年前までは南極から遠く離れていた大陸が、南極に移動したといわれいてる。
地殻の変動や氷河期などでも、辛くも生き残った人々が、中南米やエジプトに舟で大移動して1万年以上前に「指紋」を残せたのか?!
最後にもっとも驚いたのは、著者は1995年1月17日に起きた阪神大地震を地殻変動の事例として取り上げていることだ。今年の3月11日の東日本大地震を何と付け加えるか。
古代マヤ族のカレンダーによれば、2012年12月23日に世界は終わるとされているのはあまりにも有名だ。
キリスト教信者で霊能者のエドガー・ケイシー氏は1934年の預言で、「2000年頃に極が移動する。北極と南極で大変動がある。熱帯では火山が噴火する。アメリカ西部で地球は分裂し、日本の大部分が海に沈む」
これら2000年というのは、占星術的には魚座が終わり、水瓶座に移ろうという時代であり、時代の移り変わりの時期は、不吉とされるのである。
大天空の壮大なドラマ、その中で生き延び、神々となって時代を跳ぶ。
今日では、舟でなく、飛行機、人工衛星、宇宙基地など実現しているが、果たして誰がどのように生き延び、残したい物はなにか、…。
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