『ミッドナイト・ララバイ』

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読書日記

2011年11月17日

『ミッドナイト・ララバイ』 サラ・パレツキー ハヤカワ文庫 1100円+税

40年前の冬、猛吹雪の日に一人の黒人青年が行方不明になる。
彼の叔母が、死を直前にした今、V.I.に捜査を言付ける。
探っていくと、その冬の前年1966年夏、シカゴの公園で人種差別抗議デモがあり、彼もキング牧師の護衛をしていたグループの一員だったことが判明。そのデモ行進中に、一人の黒人女性が誰かによって殺される。
大学卒業後、父親(V.I.の叔父)のコネで上院議員立候補者の選挙事務所を手伝っている従妹は、お喋りで携帯電話で喋りまくるピチピチギャルの典型。彼女が絡んで、V.I.自身の愛すべき尊敬していた亡父(元警官)や上院立候補者の父親、そして叔父などの40年前が露わになる。
V.I.自身、ユダヤ系イタリア人で故郷を辛くも逃れてシカゴにたどり着いた大好きだった死んだ母親の一人娘。人種差別には強烈に反攻し戦う。
人種のるつぼシカゴの、ギャング、人種差別、そして警察の、闇の部分に潜り込んでしまったV.I.の、腕力、体力、精神力はもうずたずただ。

著者も実際参加した1966年のシカゴの人種差別抗議大デモがモチーフの基礎になっている。
原題はHARDBALL。直訳すれば「硬球」かな。これが鍵。

著者の最新作『ウィンター・ビート』を読んで、どうしても前作のこれを読み直したくなった次第。

V.I.ウォショスキーの根性を読むと、いつも元気が出てくる。
私も頑張らなくっちゃー、と。
  

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