『チンギス・ハン』

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読書日記

2018年10月07日

 『チンギス・ハン』 ジョン・マン 東京書籍 3500円+税

テレビのある番組で、たまたま老フランス人学者がジンギス・カンの墓を探すものを見た。そう言えばどこにあるのかしら、と興味を覚えた。
ないのだ。いまだに発見されていないのだ。

孫のフビライ・ハンの時代になると、ユーラシア大陸に広大な帝国を築き中国に元王朝を建て、マルコポーロがやってきたり、日本に元寇を企てたりした。

そのチンギス・ハンの墓探しの旅を、ドキュメント紀行のように探り語っているのが本著。著者は英国人で歴史家、旅行作家。
モンゴル族の起源や、チンギス・ハンの生い立ち一生、後継の子や孫たちの戦いの様を描く。モンゴル人は文字を持たなかったため、チンギス・カンの出生年月日は分かっていなく、モンゴル人は騎馬族のために住居を定めず、馬で疾走しながら領土を広げていくのみ。
死の原因も定かでない。死を敵に悟られぬよう極秘にし、埋葬地も知られていない。
中国漢人はモンゴルは侵略者であるからチンギス・ハンを認めないし、共産党になってからは外交も一時閉ざされたり、もともと外国人が神聖なチンギス・ハンの墓を暴くなど、許せぬことである。
著者は2002年の夏、多くの書物を読み30年来の夢をかなえるべく、チンギス・カンの墓があるとされる地に出かける。ヘルレン川にヘイティ山地。ウランバートル着陸数分前にかすかに見える地。ロシア辺境の南を走るシベリア山脈最前哨。
まさに探検記だ。結果、暴くことはできなかった。

日本は探検隊「ゴルバン・ゴル」調査が1980年代後半になされた。関係者にしか回っていなかったその調査報告書を如何に手に入れたか、著者は酷く表面的で、いい加減で粗末な探検だと非難している。が、それに反論すべく実際調査に加わった日本の学者が寄稿している。当時の現地の人々の感情を害さないように大がかりな発掘はせずに、人工衛星ゃ航空カメラ、レーダーで観測した、などと。

義経が逃れてチンギス・ハンになったとの説話が流行ったこともあったな。
世界史に興味のある私は、世界各地40か国以上は出かけているが、近くのモンゴルにはなかなか目が向かなかった。彼らは当時、馬で何カ月何年もかけて世界を巡った。南行きだが三蔵法師も。今はジェット機で一つ飛び。
そうだ行ってみよう、先ずはモンゴル人が道を開いたとされるシルクロードから?! かな。

 

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