「イタリア紀行」上・中・下 ゲーテ 岩波文庫
年明けに念願だったシチリア旅行を企画しているので、久々にゲーテのイタリア旅行を読み直している。8年前にも読んでいる。
北国のゲーテにとって、イタリアは憧れの南国、暗い情熱の悩みを形象的明朗な南方精神に求めるほかなかった。請われてワイマールの宰相にあったものの彼は煩雑な政治や7歳年上の人妻シュタイン夫人との愛の悩みから逃れたい一心で、名を隠し辻馬車での逃避行に走る。
今回はシチリアの部分(中)を中心に、やはりどうしても全体を読んでみたくなる。
彼の旅の特徴は、鉱物、植物、気候、そして古代やルネサンスの建築、彫刻、絵画に興味を示し、生活にも目を向けている。彼の植物変形論は有名だ。火山がまだ噴火しているのに火口近くまで出かけたり。中世の、特にゴシック建築や教会には嫌悪すら示す。さすがプロテスタントだ。
シチリアへは、ナポリから船でパレルモまで行くのだが、船酔いに悩ませられている。私の旅程もそうなので、酔い止めをしっかり飲もう。パレルモに滞在して友の画家が描く記録絵を覗き込んでいる。風景、生活などなど。
ここでの画家は若きクニープ。シチリアに来る際に一緒する契約を結んでいる。昨今のスマホやデジカメと違い、写真がない時、スケッチだけがたよりなのである。
彼のような実り多い旅になりますように。
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