『ジャングル・ブック U』 ラドヤード・キップリング 偕成社文庫 700円+税
昨日6日は、午後から雨。それも豪雨となった。家の前の道路が濁流と化している。
そんな中、ジャングルを想像するのにはちと規模は小さかろうが、それでも叩き付けるような雨音にわくわくしながら、『ジャングル・ブックU』を読んだ。
『ジャングル・ブックT』の続編。
Uでは、モウリグがジャングルの王として仲間に助けられ知恵と工夫でオオカミの群れを赤イヌの猛攻撃から救うが、再びモウリグが人間社会に帰らざるを得ない話しで完結する。
そして、番外編として、「ラグ(ジャングル)にて」という、インド政府役人の森林監督官がモウリグと遭遇して友情を育み、モウリグを森林監督官にする話しが載っている。
生まれたばかりの人間の子でオオカミなどに掠われて育てられ、森の奥地で発見された例は幾つかあるようだ。以前にヨーロッパの森で発見されたオオカミ少年の学術書を興味深く読んだ記憶がある。
作者のキップリングは1865年インドのボンベイに生まれ、少年時代をイギリスで過ごし、後1882年又インドに戻って新聞記者として働く。現地のインド人らから、いろいろと珍しい話しを聞いたり、体験したことであろう。
その後詩人・小説家として300を超す書を著わし、1917年ノーベル文学賞受賞。
日本でも明治時代には知られていて、昭和3年に文藝春秋社の小学生全集に菊池寛が翻案したものはこんな具合だそうな。"諸君、この本は表題からして『ジャングル・ブック』という、日本の言葉でいへば『藪の本』である。……" 当時の小学生たちもこの冒険物をわくわくどきどきで読んで世界への眼を広くしたのであろう。
子供向け本は純粋で心豊かにしてくれる。
[前の日へのリンク]← | →[次の日へのリンク] |
Copyright © Etsuko Shinozaki 2003-2015 all rights reserved