『新ビルマからの手紙』

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読書日記

2012年08月08日

『新ビルマからの手紙』 アウンサンスーチー 毎日新聞社 1500円+税

1997〜1997/2011 とある。
毎日新聞が「手紙」という形で月1回、アウンサンスーチーさんの肉筆を連載したもののまとめである。
2011年10月23日付けの「仏塔の都バガン 尽きない魅力」で終わっている。是非ビルマに来て自分の眼で観て下さい、と。
この後、確か彼女は選挙に立候補し国会議員に当選した。

想像を絶する容赦なく愚かな迫害、投獄、自宅軟禁を繰り返し受けながら、ユーモアの精神に満ち、正常なこころでくぐり抜けてきた彼女の力はどこから湧いてくるのだろうと、常々関心をもっていた。
この頃、本の購入はもっぱらアマゾンで便利にしていたが、久々に本屋に出向きいろいろと物色していて突然眼に入ってきたのがこの本だった。さっそく読みふけった。
自身の軟禁中のことや、ビルマの独立運動、彼女が書記長など務めて軍部政権と戦っている民主化運動、そのリーダーや先輩、仲間達のことが、時にはユーモアさえにじませ、理解不能なヨーロッパ古典などを引用する隠語めいた文章で、当局を刺激しないように綴られている。
苛烈な弾圧の中、背筋を伸ばしてしなやかに前進を続ける彼女の力は、社会的に活躍した両親の姿を観、自身若くして国際舞台で仕事をして培った、比類無い祖国愛、いな人類愛なのではないか。それを支える自身の深い教養、家族、仲間がいる。
その清楚な佇まいに花の髪飾りをしている彼女、風にしなる竹のような強い美しさをたたえている。
大学は閉鎖されたまま、国会は開かれたことがないまま。彼女の闘いは続く

戦中の日本軍のことや、今日の意味の無い日本政府援助のことにも当然触れている。
私は『ビルマの竪琴』の、題名くらいしか知らない。
以前、難民を助ける会のスタディーツアーで行ったカンボジアの実情に思いが及んだ。
長い他国の植民地支配から漸く脱したのに、血で血を洗う内戦になりそれが長引いてしまうのは何故なのか。
叶うことなら、彼女の要請に応えて是非ビルマに行ってみたくなった。
彼女はぴったり私の一歳上である。

 

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