『ルパン、最後の恋』

トップ > 日記

読書日記

2012年10月14日

『ルパン、最後の恋』 モーリス・ルブラン ハヤカワ・ポケット・ミステリー・ブック 1300円+税

この本は、著者が死を4年後に控えた1937年初頭まで推敲していたが出版果たせず、70年間埋もれていたものを、孫の手によってようやく2011年に出版された。正に最後のルパンである。
早川書房の粋な計らいで、「アルセーヌ・ルパンの逮捕」というアルセーヌ・ルパン・シリーズの第一作が付録されていておもしろい。
最初と最後と、絶世の生きのいい美女にほろ苦く恋するのである。最後の恋がどうなるのか読んでのお楽しみ。
そして、最後のルパンは巨万の富を隠し持ち、その大半を科学技術開発のパトロンとして使い、貧しい子供達の教育育成に力を注ぐ。
社会に不足しているものは昔も今も同じよう。今にルパンがいないだけか。
ルパンといえば、変装巧みな神出鬼没の怪盗紳士。勇敢で義侠心にとみ騎士道精神にあふれている。まるで江戸の鼠小僧のようである。

そう言えば東京銀座に「ルパン」というバーがあった。バーの老舗中の老舗。太宰治や坂口安吾らがここで飲み語らっていた。文学誌に載ったその写真が大きく引き延ばして張られていた。私は40年くらい前から行くようになったがもうご無沙汰。多分今もあるであろう。横町を入って、ルパンの絵の看板を掲げて。うーん、懐かしいなー。
  

[前の日へのリンク]← 
→[次の日へのリンク]

NewChibaProject