『日本人を考える』

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読書日記

2016年06月23日

『日本人を考える』 司馬遼太郎 文春文庫 670円+税

司馬遼太郎が日本の賢者たちと対談する企画の書である。
多くの人と対談したようだが、ここには梅棹忠夫や犬養道子、向坊隆ら12人との対談が収録されている。
時は1969年(昭和44年)から2、3年の間。私が大学を出て社会人となり始めた頃だ。経済高度成長期がそろそろ終わり、これから日本をどうしていくのか、心ある識者は考えていた時期だ。
司馬遼太郎は凄い作家だ。これだけの専門畑がそれぞれ違う賢者と、互角に奥の深い対話を交わす。そして、問題点はおおよそ現在と変わらない。というよりはそれらがさらに今日悪化しているきらいも見受ける。
司馬遼太郎を含み登壇識者は全て鬼籍に入っている。
日本人は勤勉で、外から取り入れた物を自前のものと融合しているという見方は共通している。ただ勤勉ばかりだと視野が狭くなりこころ豊かになれない。もっと大らかに、近隣諸国と付き合ったらいいのにと言う、ゆとりある話しもうなずけた。

今日こうした作家なり識者たちがいないものか。 

 

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