『世界でもっとも貧しい大統領ホセ・ムヒカの言葉』 双葉社 佐藤美由紀 1000円+税
前ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカ氏の言葉と生い立ちを綴っている。
2012年リオ国連開発会議での穏やかなスピーチが世界中に響き渡った。
ノーネクタイとシャツ姿がトレードマークの大統領。大統領公邸に住まず大統領専用車を持たず、首都モンテビデオ郊外のずっと住み着いている農家に住み中古のビートルで3本足の愛犬と散歩する。
こんなところから世界で一番貧しい大統領と称したのだろうが、彼は国連会議で「貧乏な人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」
若い頃、格差のない社会と自由に憧れ、チェ・ゲバラの影響をうけた極左武装グループに所属、捉えられて13年間獄中に。そこで多くを学んだという。
私は質素なのだという。質素は"自由のための闘い"ですと。物であふれていることが自由なのでなく、時間であふれていることこそ自由なのだと。物で溢れた社会は大量の消費をし、生産体制を整え、消費を促すために直ぐ壊れ捨てられるものを作り、それを買うためにせっせと働き、という社会循環が生まれ、人間としての自由な時間はなくなっている、と。
環境問題、消費問題、経済問題、全てが政治の問題なのだとも。
先般日本を訪問した。物に溢れ世界一豊かだと言われている日本の人々がどんな人たちなのか知りたくて来たと。
その感想を知らせる報道があまりなされていないのが日本人のそして日本の政治の、日本のマスコミの現状だ。ましてや、あるテレビのニュースワイドで、ムヒカさんのことが有名で絵本にもなっていると取り上げたら、ある若いタレント紛いのコメンテーターが、「ウルグアイってどこにあるのー、ウルグアイランドって聞いたことがあるけど−」とのたまった。愕然とした。無知や勉強不足は自慢にはならないのですよ。コメンテーターともあろう人が。なさけない、これが日本マスコミの現状だ。
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