『老いへの「ケジメ」』

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読書日記

2017年04月30日

『老いへの「ケジメ」』 斎藤茂太 新講社 1000円+税 

神経科医、旅行作家として名を馳せたモタさんの、物と心の整理術である。広く見れば人生論そのもの。
人生の区切り区切りでケジメを付け生きる。身も心も物も整理整頓して、欲を張らずに、生きていく
後半生は心身ともに身軽でいたい。そうすればこの世に未練は残さず、まだ誰も行って帰ってきていない、だからきっと楽しいところであろうあの世からお迎えが来て自然に逝くことができよう、と。
死はだれでも怖いもの。昔は家や身近に死があったから、いわば死と共にいきていた。だから自然とお迎えについていった。現代は老いて病院で逝かされる、あるいは生きながらえさせられる。死は身近でない。人生折り返し点のある年齢になったら、一人ひとり死と共に生きていくケジメを付けておくべき。それがハッピーエンドを迎えるための大切な条件となる、と。
悠々として、ユーモアたっぷり、品のよかったこの著者の優しい遺言だ。

 

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