『お能の見方』

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読書日記

2012年11月02日

『お能の見方』 白洲正子、吉越立雄 新潮社とんぼの本 1400円+税

能の歴史から構成、種類、主立った曲などを、白洲正子が平易に分かり易く説明している。
写真は、能を専門に撮っている吉越立雄。
この本を読んでおけば実際に能を舞台で鑑賞するのに大体のことが分かる。

おもしろいことに、白洲正子の未発表小説「ものがたり 故郷の花」というものが付録されている。
能曲『忠度』を題材にしたもので、風流人でもあった平家の副将軍平忠度が合戦で首を落とされた。首をとったその者が、ある夜藤原俊成を訪ねてくる。俊成は歌人として忠度の師匠でもあり、勅撰千載集を編纂したばかりだった。………。
後は読んでのお楽しみ。
典雅な世に、公達たちが次々と闘い敗れて逝く「平家物語」の世界"歌人としてこれ以上のほまれはない。武人としてあれ以上の最期はのぞめぬ。のう、忠度。今更なにを思うことがあろうぞ。いつわりの世に妄執することなく、今はただすみやかに成仏せよ。花が根にかえる如く、この上は安らかに得脱の身となり給え。ー" と俊成に数珠をつまぐりながら物語らせている。

能は様々に深く思い巡らせてくれる。

 

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