久々に能鑑賞の機会に恵まれた。
国立能楽堂で開かれた金春会定期能にて、「源氏供養」と「項羽」である。
「源氏供養」のあらすじは、紫式部は石山寺にこもって「源氏物語」を書き上げたが、源氏の君の供養をしなかったので自分 は未だ成仏できないでいる。どうか源氏の君 と自分の菩提を弔ってくれと、旅の僧に頼み成仏し、実は紫式部は石山観世音が仮の姿であったというもの。
架空の物語りを作ることは仏教の五戒の一つ「不妄語戒」(嘘をついてはいけない)に反するという当時の思想に由来し、紫式部は死後地獄に堕ちたという伝承があった。1060年頃の「更級日記」に既に現れている。
昨年、「源氏物語」1000年祭が広く開催されていたが、こうした供養もしたのであろうか。
「項羽」のあらすじは、古代中国の武将項羽は劉邦と共に秦を滅ぼす盟友。が、その後不和となり幾たびか激戦し裏切り者が出たため項羽は四面楚歌となり、愛妃虞氏は身投げ、愛名馬は膝を折り、項羽は自害し敗北するというもの。
虞氏を弔った墓からは可憐な草花が咲いたという伝承からその花を「美人草」または「虞美人草」という。
狂言の「因幡堂」もよかった。
大酒飲みの妻と離縁し、新しい妻を娶ろうと堂にお参りに行くが、大酒飲みの妻の策略でまた元の木阿弥というお話し。
能鑑賞は、しみじみと心落ち着かせてくれる。
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