母からの手紙

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スローライフ日誌

2015年10月28日

「世界」10月号は"2015年夏という分岐点"という特集で組んである。戦後70年、終戦の真実や安保法案、安倍談話などの論評が興味深い。大いに考えさせられる。
戦争体験は私はないのだが、終戦後からの暮らしの様子はよく覚えている。父のゲートル姿。母に手を引かれて歩く側に、手や足のない傷痍軍人の奏でる曲。お八つにとサトウキビを植えてくれていたことなど。そうした事柄が「世界」を読みながら自然とこころに淡く甦る。
昨日はあるテレビ番組で懐かしい日本の童謡を聴いた。「月の沙漠」、「朧月夜」、「待ちぼうけ」など。一緒に歌いながら静かに涙がこぼれてきた。
少し前、これもテレビで聴いたのだが、オーストリアの旅で神業ともいえる指運びで「ラ・カンパネラ」等を弾きウィーンのファンを魅了した若き天才ピアニスト辻井伸行さんが、オーストリアの小さな村の教会で歓迎の意で村人の楽団・合唱が 「さくら」を演奏したら、辻井さんが泣き出した。「外国でわざわざ僕のために日本の歌を歌ってくれて」と。わたしも泣けてきた。「さくら」は本当に日本のきれいな曲だ。
池澤夏樹の『静かな大地』でもこころを洗われていた、のかな。
そして、25日の高校同期会で50年振りに旧友たちに会い、昔日を思い出していたのかな。
このところ、ちとこころが繊細にふれているのかな、あるいは母の命日がこの31日で昔の懐かしい事を思い出しているのかな。

ポストに郵便物を取りに行こうとして、ふと、母からの手紙が今日は入っているかなと、瞬間心温まる予感を錯覚した。錯覚とはいえ、心温かい風がふと吹いてくれてうれしかった。数十年振りの心温まる期待感だった。
  

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