過日、異業種交流会三木会の新年会では興味深い話を聞いた。
ゲストスピーカーは盆栽職人の川辺武夫氏。日本ではどちらかというと異端でヨーロッパでの評価が高いそうだ。
1946年生まれ。トヨペット工場長を辞め近くの盆栽の大家に弟子入りするも、古来の盆栽造りを辞め、独自の作風を追求しているそうだ。大家の庭で修行中、矯めたり歪めたりされている盆栽の木々が、苦痛にうめいている声を聞いて怖くなったのだと。
現在は、3000mや4000m級の山に行き、樹木が生息出来るぎりぎりの地点での木々の形相を観察し、生きるためにどういう姿をすればいいかを教わってくるのだという。写真は撮らない。脳裏に残った樹の姿だけを盆栽造りの参考にすると。
今、日本では盆栽造りがすたれつつある。日本のいいものの評価は、むしろ海外のほうが高いと。モネの家を訪ねたとき、あまりにも多くの浮世絵が収蔵されているのに驚いたそうだ。浮世絵のように、盆栽も逆輸入させようと考えたという。
そう、日本はいいものをたくさん持っているのにそれを評価しない。隣の芝生に憧れる嫌いが強い。でも、そろそろ自信をもって自分の良さを大切に育てることができるといいな。そのためには幅広い視野と見識を培っていかないといけないが、ね。
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