久々の能鑑賞だった。
いいものだ。心落ち着く。
事前にしっかりと予習しておく。それぞれの詞章をプリントアウトして、読んでおく。当日もそれを見ながらの鑑賞。そうすれば言葉も意味も分かる。
昨日の国立能楽堂での金春会定期能。
三題。
「西王母」 古代中国周の宮殿。伝説的な仙女西王母が、仙境の我が庭に三千年に一度花咲実を結ぶ桃を捧げ、御代を祝す。
いずれ能は幽玄・夢物語。そんな桃がどんな味か、美味しい桃が食べたくなった。
「頼政」 源三位頼政の幽霊が、源平戦に敗れて自害した平等院の扇の芝に旅の僧を案内し、宇治川での両軍の戦い振りを語り、弔いを頼み消えていく。
鋭い眼が特徴の頼政の専用面を着けた生前の老武者姿が惹きつける。
「籠太鼓」 九州松浦で人殺しで捉えられた男が牢破りをする。と、代わりに妻を身代わりに籠に入れる。牢番が時を知らせる太鼓をたたくと妻は発狂する。牢から出そうとするが嫌がり、太鼓を打って夫への恋慕を募らす。こころを動かされた役人が二人を許すと、妻は夫の居場所を明かし夫の元に急ぐ。
久々の能鑑賞だった。やはりいい。笛や太鼓、小太鼓の音も実にいい。面は見る角度によって表情を変えて驚かされる。舞もゆっくりでこころ落ち着く。
何人か外国人の見学者が居たが、よほどの日本語の達人、しかも古文の、そして歴史も、と、日本人でも分からない能の世界を、鑑賞するのは、ちと無理があろうな。歌舞伎ほど華やかで動きが有るわけではないし。
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