金春流の能の会である。
年に一度の舞台である。
今回もいい能を観せてもらった。
会場 国立能楽堂
「実盛」
平家物語に名高い老武者の最期である。斎藤別当実盛は、白髪を黒く染めて加賀篠原の戦いに出陣し、木曽勢に敗れる。200年後、その亡霊が篠原の遊行上人説法の場に現れ、懺悔の戦語りをする。
世阿弥作の濃厚な修羅物である。
仕舞 高砂
天鼓
船弁慶
狂言「呂蓮」
旅の僧を泊めた宿の主人は、僧の法話に感じ入り、かねがね出家したいと考えていた(笑い)ので願い出で、剃髪、法名をも授かる。が、そこに現れた妻は、相談もなく主家したとて、激怒して……(笑い)
「梅枝」
住吉神社の富士と天王寺の浅間の二人の楽人は、宮中の管絃への出演を争い、富士は浅間に敗れ討たれた。
旅の僧が草生した宿に一夜を乞うと、何やら老女が現れる。夫への思慕と執心に迷った富士の妻の姿である。僧が夢うつつの間、形見の能楽装束を着けた妻の霊が妄執を舞う。やがて妄執の雲霧を払い富士の弔いを乞い、静かに消える。想夫恋である。
能は日本人のこころを見事に表していると感じる。
それを体系づけた世阿弥とはたいした人だ。世阿弥から足利義満へと、思いはつながる。
例によって、鑑賞後、赤坂での会食。美味しい肴と酒でさらに能談義は続いた。
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