高校時代の友人たち、女ばかり5人で、東京駅近くのイタリアン・レストランで数十年振りにランチを一緒した。
それぞれの覚えているエピソードは、全く違っていて不思議だ。
それぞれの個性は、50年の歴史を経て人的背景や環境の違いを大きく加えつつも、乙女の頃の片鱗を多く残している。
こちらは食い気の秋。
そして、午後は上野まで足を延ばして、歴史芸術の鑑賞をはしごした。秋だもの。
上野はいつ行っても大賑わい。修学旅行の生徒たちと中高年の人々。
先ず国立西洋美術館で「大英博物館古代ギリシャ展」を鑑賞。
今から2000年頃前の最盛期のギリシャ文化。美術、文学、哲学、スポーツなどなどの文化が彫像、レリーフ、壺絵などで残されている。今日まで、それらは西洋美術の手本である。
大英博物館は、18世紀、19世紀の古代文明発掘熱で世界各地で発掘されたものを蒐集している。この度はギリシャ文明に関する至宝を135点公開している。
日本初公開の「円盤投げ」が人気。
私は「スフィンクス像」や「ニケ小像」など、小物の表情が気に入った。
次に東京国立博物館平成館で「空海と密教美術展」を鑑賞。
2時頃行ったためか、入場に20分待ちの長蛇の列。テントが張られている。
丁度建物の合間から東京スカイツリーが覗く。
今から1000年頃前の日本の仏教文化。中でも今回の展示は空海のもたらした真言密教の美術である。
弘法大師空海は延暦23年(804年)遣唐使の一員として唐に渡り、わずか2年で密教の奥義を究め、教典、絵画、法具類などを持ち帰った。
密教は絵画などがなければ理解出来ないと空海自身言っている。
曼荼羅図など、それはそれは見事、というか残念ながら今では色あせ不鮮明であるが、煌びやかだったと思われる。
圧巻は、京都・教王護国寺(きょうおうごこくじ)(東寺)の講堂を模して、8体の仏像曼荼羅が造られている会場。東寺では空海の思想に基づき大日如来を中心に、五仏、五菩薩、五大明王など21体の仏像が安置されているそうだ。
"弘法も筆の誤り"というが、空海の見事な筆は直筆5件が展示されていて、見学者たちの関心を惹き付けている。
とにかくの大混雑。扇子をばたばた。
人のいない東寺でゆっくりと鑑賞したいものだ。
図らずも1000年違いの東西の歴史芸術に触れることが出来た。
今の2000年頃の文化芸術は3000年頃の人々に何と言って見られるであろうか。
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