近々オーストリア旅行に出かける。
ウイーンとザルツブルグがメインだ。
シシの大ファンだし、モーツアルトも大好き。
ザルツブルグは始めて。
ウイーンは何回も行っているが、国立オペラ座の鑑賞付きなので、このツアーを選んだ。
途中もなかなかのもの。
ウイーンからザルツブルグに行く途中、風光明媚なドナウ川流域のヴァッハウ渓谷があり、そこにメルクという10〜12世紀までオーストリアの首都だった町がある。
そのメルクの修道院を入場見学できる。
蔵書の多さで名高い。
で、この修道院の見習い修道士だったアドソという名の修道士が想い起こして書いているという設定の本が『薔薇の名前』である。
時代は14世紀半ば。イタリア北部の蔵書で名だたる某修道院。
教皇派、皇帝派、ベネディクト会、フランチェスコ会などの策略が熾烈極まりない時。
この修道院内でおぞましい死体が相次いで発見されるー。
とまあ、こうした筋書きだが、キリスト教義の論争がおもしろい。
つまり、西洋中世の暗黒の時代、キリスト教信奉者から見ると、今日でいうところの「科学」で発見発明進歩したものは、当時は悪魔か魔術のなせる技で、下手をすれば火炙りの刑に処せられる。
その例として、ウィリアムという名のアソドの師である主人公が隠し持つ「メガネ」ある。
この主人公役を映画ではショーン・コネリーが演じていた。ショーン・コネリーが、元異端裁判審問官をつとめていた長身、痩身、鋭い目で博識の修道士を演じても、どうもジェームズ・ボンドになっていたな。ふふ。この修道士はイギリス人ではあるのだが。
もう一つの例が中国人が発明した火薬。これも恐ろしい悪魔の仕業とみなされた。
で、この修道院の文書館には、異端や異教徒の書物も多々あるとして、つまり悪魔や魔術的なことが書かれているので、それを読む権利を巡って大騒動ということー。
ウィリアムは、異教の本に、つまりイスラム教徒の本に、メガネなど今で言う近代科学・数学などのことが書かれていると、博学を弟子に話して聞かせたりするー。
こうして、何のことはない、メルク修道院の見習修道士が出てくるというだけで、以前に見た映画の原本を読んでいる。
スローライフならではの趣き。
それにしても、今日、本も高いのですね、一冊2500円でした。これは上巻。下巻も多分2500円でしょうね。とりあえず上巻だけにしておきましたがー。
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