フランスに程近い古都。17世紀に立てられた街並が美しい。オーストリアとの和平を求めるナポレオンは、二番目の后マリー・ルイーズにこの街を統治させた。道は回廊でつながっている。
イタリアが統一国家になったのは近代。1864年にヴィットリオ・エマヌエーレ2世によってである。それまで多くの小国が独立していた。
100数十年続くという老舗のバールは年配の人々でにぎわっていた。
バールとは喫茶店のこと。イタリアにはこうしたちょっと高級で美味しそうなお菓子やカフェラッテなどの飲み物のお店が多い。
最初にチョコレートがつくられたのもこのトリノの街。
ピエモンテ州アスティ地方といえばワインの産地で有名。小一時間のドライブ中、見渡す限りのぶどう畑。収穫はすでに終わっていた。
そして、このあたりは白トリフでも有名。残念ながら食す機会がなかった!
エノテカとは貴重なワインのコレクション、ワイン展示館、試飲のできるワイン販売所、レストランなどを備えたワイン専門店のことである。
ここでおよそ3時間かかる昼食の洗礼を受ける! これ以降食事は時間をかけてゆっくりというイタリア時間、イタリア式スローライフを体験していくことになる。
ここのマネージャーのピエールさんが、スローフード運動について詳しくゆっくりと話してくれた。スローフード運動とは、@伝統的な地元の食材や料理を守ること A地元の小生産者を守ること そしてB子供や消費者に味の教育をする ことである。
ピエールさんは話しながら、われわれに地元で造られたワイン類スプマンテなどを試飲させ、それにあわせた料理も地元の伝統的なもの、例えばハム類はラルドとか、チーズ類は山羊の乳のものとかゴルゴンゾーラ(青かびチーズ)、それに添えるモスタルダ(ぶどうのしぼりかすをジャムのように煮詰めマスタードで味をととのえたもの)などを供してくれる。
パスタ類は詰め物で野うさぎの肉やほうれん草を詰めたアニョロッティなどと説明してくれて、どのワインにどれがいいとか、食べる順などを説明してくれた。
うさぎの肉と聞いて、ウォッとフォークを置いた。
隣りのテーブルは、近所の96歳になるおじいさんの誕生日祝いの会で、一族20人くらい犬一匹で穏やかな家族愛を見せてくれていた。ピエールさんはそのテーブルでもホストを務め忙しい。
ピエールさん曰く。「スローフード運動なんて特別にいわなくても、こういうライフスタイルを受け継ぎ守っていくのがわれわれ。普通のことなのです。スローフードなんて聞いても殆どのイタリア人は知らないと思うよ。」
やおら3時も廻った頃、ピエールさんが近くの知人宅に案内してくれた。途中ぐるりと地域に広がるワイン畑を巡ってくれて、若い彼の地元のぶどう畑とワインに対する誇りと自慢を強く感じた。
ここのお宅は代々ワインを生産している。あの向こうはパパのぶどう畑、周りは全部一族のものとご当主が説明してくれた。自宅脇の酒蔵で造るワインに自家製のラベルを貼る。
忙しいからと短い時間だけ対応してくれ、われわれを送り出すと直ぐご夫婦で仕事にかかっていた。
以降、イタリアの人たちがよく働くこと、特に家業を家族で働いて成り立たせていることを学ぶとになる。
リストランテといえるのは、オーブン(釜)でピッツァを焼いているところだけ。入り口にそれを見せていて、ピッツァのおいしかったこと!
日本人は大体ビッツァ(いわば前菜)までで満腹。セコンド(メインディシュ)まではちょっと重い。
[海外旅行記]
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