バルマは、グルメには見逃せない本物の味が守られ、そして造られているところである。
先ずは、チーズ造りから。
パルミジャーノ・レッジャーノとは、イタリアを代表するチーズの名前。日本には英名のパルメザンチーズとして名高い。硬くて、独特の臭いがする。日本では粉チーズとして挽いて用いることが多いが、本場では砕いてそのままテーブルチーズとしていただく。つまませてくれた。とてもおいしかった。
バルミジャーノ工場は500社はあるが、うち80%はできたチーズを取り寄せ熟成だけ請け負う。われわれの訪問したFratelli GENNARI社は、自社で1000頭の牛を飼い、毎朝乳を搾って、それでチースをつくっていく昔ながらの農家方式をまもっている。こうした工場は10社ほどしか残っていないそうだ。
チーズ工場の仕事は朝が早い。われわれが到着した頃にはほぼ終わりかけていた。
ご主人が亡くなってからお母さんが社長に就き、息子たちと仕事を切り盛りしていた。チーズに固まる瞬間はお母さんの手の感覚でしか判断しない。すごい長年の職人業だ。
一日に造るのは40〜45個くらい。そうとうな力仕事でもある。
熟成庫が幾つかあり、われわれの入れてもらったところにおよそ16000個、他にも3万個が熟成中だそうだ。
パルミジャーノを名乗れるのは12ヶ月寝かせたもの。だいたい20ヶ月熟成がおいしいとされるそうだが、日本からの注文は36ヶ月もので、これはイタリアでもかなりの通好みとされているものだそうだ。
パルマ生ハムは「食のダイヤモンド」とも呼ばれる世界最高の生ハム。われわれが訪問したところはカザーレ社という。
パルマ生ハムの製造は豚の飼育の段階から法で管理されている。品種、牧場、餌の他飼育環境まで定められていて、生後10ヶ月以上で、体重140Kg以上のもののみが使用される。後で粗悪な豚が混ざらないよう、パルマハムの原料になる豚には、生後30日以内に誕生地・養豚業者コード・誕生月の入れ墨をする。これでトレーサビリティがしっかりできるわけだ。
大きな工場である。
製造工程を細かく説明していただいたが、もともと肉の大きな塊りが苦手のわたしは、少々たじろいでしまう。
生肉に塩を擦り込む。マッサージしながな一週間おきに2回。それから2ヶ月、冷蔵庫で休ませる。
その後、風通しのいい熟成庫でパルマの風を吸い込みながら数ヶ月静置される。
日本への輸出には骨を取らなければならない。
試食をさせていただいたが、なるほど美味である。
この後は、生ハム会社の方たちと昼食をした。例によって3時間コースである!
われわれは、今夜はアグリツーリズモ(農家体験泊)なので早めにパルマを発ってフィレンツェ郊外まで行かねばならないのだが、結局発てたは3時を回ってしまった。
中田が練習しているサッカー練習場を横目にしながら、ひたすらバスは走ったが、フィレンツェ近くで渋滞に巻き込まれ、宿に着いたのは9時頃になっていた。
因みに、パルマの何人かは、「中田にはお引取り願いたい。彼はだめだ」といっていた!
街灯一つない真っ暗の中、何とか農家にたどりついた。出来れば農作業の手伝いでもなどと目論でいたが、残念でした。
幾つかの建物に分宿となる。
作業小屋らしきところに入れられたメンバーは怒り狂っていた!
わたしは母屋らしきところで当ったり!
アグリツーリズモとはいわば農家民宿。ホテルとは違ってサービスなどついていない。ちょっとした自炊もできて、何泊かするのが普通。われわれはここでも常識外れの日本人のファストな旅を演じたことになる。
レストランに食事に行った若いメンバーたちもいたが、とにかく外は真っ暗、迷子になって遭難したくなかったので、わたしはミネラルウォーターを飲んだだけで寝てしまった。
[海外旅行記]
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