『103歳になってわかったこと ー 人生は一人でも面白い』 篠田桃紅 幻冬舎 1000円+税
著者の『桃紅百歳』でも感銘を受けた。
今回の著も、読んでいて、彼女の眼力の澄み切った清さ、鋭さに驚かされる。それでいて心持ちはなんとも嫋やかでいて静かに落ち着いている風情が伝わってくる。心身共に健やかだ。
しきりと、自由に生きてきたことを語る。何にも囚われずに計画もなく、いまだにそうだという。自然と筆が赴くままに、気付くと明け方だと。「川」を一本線や数本の線または太い墨一色で描きたいのだと。
昔の人的交流、ロックフェラー家やライシャワー夫妻らとの思い出がさらりと述べられているが、世界の超一流の人びととの交わりだ。そこから得られたことが多いという。
「芸術を愛する人のこころは普遍的で、人と人に実り豊かな縁をもたらします。この普遍性が世界の平和の一助になることを、いつか地球上から戦争と飢餓がなくなる日がくることを、私は願っています」
また、「全人類が価値を認めて愛するもの」 それは「母」 というのも自然で現在は忘れられかけている指摘だ。
「杣(そま)」を大切にという言も103歳にして言って置きたい事か。
凛としているので自信が漲っているようにもうかがえる、若い人の場合であれば。彼女の場合はただ淡々と達観するのみ。
歳をとるということは、日々新しい事との出会いであると。元祖クリエイターそして現役クリエイターの面目躍如である。
1913年大正2年の生まれだから、明治42年生まれの私の亡母より3、4年若いのかな。
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